We are what we eat !

「We are what we eat.」アメリカにこういうことわざがあります。
これは「私たちは食べたものからできている」という意味なのですが、まさにその通り。

私たちのカラダは60兆個もの細胞によってできています。細胞は常に古いものから新しいものに入れかわったり、カラダの材料になったりしていますが、そういった細胞の機能の活動源となっているのが、「食事から摂る栄養素」です。
言い換えると、毎日食べるものが私たちのカラダをつくっているということになります。

細胞は、体の中で機能に応じて形も変わります。たとえば赤血球は、血管を通じて酸素や栄養分を各組織に運搬する働きがあり、血液中を流れやすいように平べったく、変化しやすい形に作られています。また神経細胞は、脳での司令を筋肉に送るのに必要で、細く長いものです。脊髄から足の先端の筋まで走る神経線維は1mを超えますが、一個の細胞であることに変わりはありません。そのほかにも、軍隊のような働きをする免疫細胞、臓器や手足が運動するために必要な筋肉細胞など、多くの細胞が協調して働くことで初めて生物は機能し、生命を維持することができるのです。
栄養素のバランスのとれた食事であれば細胞が正しく機能し、健康状態を維持することができます。逆に栄養素の乏しい食事であれば、病気を呼び寄せることになってしまいます。

体がしっかり働くには、細胞内に一定量以上の栄養素が供給されていることが必要です。この栄養素が不足したときに、疲れたり、ものが見えにくくなったり、皮膚炎や口内炎が治りにくくなったり、また記憶力がなくなったりなどの症状もあらわれてきます。そしてこういう状態になると、常に身体がだるかったり、朝起きてもはっきりしない、寝付きも良くないといったようなことがみられるのです。

 

私が、カイロプラクティックで臨床に携わっていて、最近本当に多いと思うのが消化吸収や栄養不良の問題です。「胃の痛み」「下痢」「便秘」などの消化器症状は、経験したことがない人はいないのではないでしょうか。聞いてみるとほぼ全ての方がなんかしらの消化機能の問題を持っていると言っても過言ではないでしょう。
そして、「身体のだるさ」「精神不安定」「活力のなさ」などの不定愁訴も多く、私は、このことに貧しい食生活と栄養バランスの状態が深く関わっていると思っています。そしてもちろん生活習慣病と言われる大きな病気にも。

近年、糖尿病が増え、循環器系の病気にかかる確率も何倍も高くなってきました。そして子どもにアトピーが増え、女性特有のガンも増えています。

 

これらの犯人は実にシンプルです。それは・・・まさに私たちが毎日食べている「文明化された食事」。

戦後、オリンピックや万博などを通して、食の新しい文化が日本に入ってきました。いわゆる食の欧米化です。今では当たり前にある、ファミリーレストランが出来始めたのもオリンピック開催の年からです。

ここ数年、食の安全性が叫ばれ、健康ブームの流れがあるのは、もちろん様々な食の不正事件があったことや、健康業界の思惑などもありますが、ここ50年くらいで食生活が大きく変化し、生活習慣病が増えてきたことが背景にあります。

食べ物の加工技術が発達するにつれ、私たちのまわりには精製された炭水化物が出回り、いまではたくさんの人が、高度に精製、加工された炭水化物(小麦や白砂糖など)をたっぷりとるようになりました。また加工食品にふくまれる添加物も問題の一つです。その他動物性たんぱく質の摂り過ぎや脂質の摂り方によっても大きく健康が左右されます。

最近では、たしかに私たち国民の健康や食への意識も高まり、スーパーにも「無糖」「無添加」「減塩」「100%ナチュラル」「カフェイン抜き」といったラベルが並ぶようになりました。また健康食品やサプリメントもたくさん出回っており、それらも私たちの栄養補助に大きな助けになってくれています。

しかし、一番大事なのはサプリメントで栄養を補うということではなく、自分の毎日の食事を考えるということなのです。添加物が加えられていない自然な食べ物で毎日の食事を組み立てることでどれだけ身体が変わるでしょう。

また、食べた物が問題なく消化・吸収できているか、食品にアレルギーなどの過敏性がないか確認するということも重要です。これらのことを実践するだけで大抵の身体の問題、半分以上は解決できてしまいます。

毎日の「食事」があなたを“病気”にも“健康”にもするといえるでしょう。

もう一度「We are what we eat.」という言葉の意味を思い、食に対する考えを少し変えてみましょう。そのことで、あなたは確実に人生の質が上がり、人生が数倍楽しくなることは間違いありません。

 

 

Nutrition

私の行っているカイロプラクティックのテクニックの一つ「アプライド・キネシオロジー」でも、栄養学は重要な位置をしめています。

よく言われているように、健康な毎日を過ごすためには「バランスのよい食生活」が大切です。肉類や魚介類、穀類のバランスも重要ですが、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを豊富に含む野菜やフルーツも適度に食べることが、健康な食生活への第一歩と言えるでしょう。

 

さて、ここでは簡単に栄養の基礎を述べていきます。

私たちが元気で生きていくためには、エネルギーを得る必要があります。ではそのエネルギーはどこからくるのでしょうか?私たちにとってのエネルギー源は、食べ物に含まれるいわゆる「三大栄養素」つまり、炭水化物、脂質、タンパク質です。私たちの身体は、食べ物を食べると、吸収しやすいようにさらに細かい物質に分解していきます。これが消化という過程ですが、これらの三大栄養素が消化され分解、吸収されると、それぞれグルコース、遊離脂肪酸、アミノ酸などの物質になります。これらが全身のひとつひとつの細胞の中にとりこまれるわけです。そして私たちはこれらの栄養素を細胞内の「ミトコンドリア」というエネルギー産生工場にほうりこんで、酸素と混ぜ合わせて燃やすことでエネルギーを得ています。

食事はカイロプラクティックにおいても重要なポイントです。何をどう食べるかが重要で、特に炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質の三大栄養素の摂取比率がとても大切です。このバランスが崩れると脂肪がたまりやすくなったり、血糖値が不安定になり、体調を崩すことにもなります。

さて三大栄養素、これはいわゆる人間のエネルギーになる部分、カロリーとも言えるものです。

先ほど言ったバランスも大切ですが、全体的な量が多くなりすぎても問題になります。それを代謝してくれるビタミンやミネラル(これを合わせて五大栄養素という)をバランスよく摂取することも大事なことです。ビタミンとミネラルは、人間の活動やエネルギーを代謝するのに重要な役割を果たしてくれるのです。

三大栄養素(カロリー)とビタミン・ミネラル(代謝に関わるもの)とのバランスがうまく取れている人ほど、健康といえるでしょう。日本は1950年代を境にして食生活が極度に欧米化し、それとともにビタミン・ミネラル欠乏が深刻になっています。半世紀以上が過ぎた今になってその影響が表面化し、大人も子どもも、かつてはほとんど見られなかったようなさまざまな心身トラブルで悩まされているのです。

ビタミンとミネラルといえば、野菜でしょう。野菜はビタミン・ミネラルといった抗酸化物質も多く含み、タンパク質や必須脂肪酸、食物繊維やそのほか多くの栄養素を含んでいます。さらに重要なことは、健康を増進したり病気を予防するためにビタミンより有用な役割を果たしていると考えられている植物科学物質が含まれています。

現代人のほとんどの人が十分に野菜を食べていません。

カイロプラクティックの中では、毎日野菜を少なくとも5人分(理想は7、8人分)食べ、そのうち一度は生野菜のサラダを摂取するように勧めている人もいるくらいなのです。

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Digestion absorption 消化吸収のシステム(吸収不全症候群)

栄養のことを語る上で、もう一つ重要なことがあります。それは栄養を吸収する側である、私たちの身体の消化吸収システムがしっかりしていくかということです。

人間の60兆個の細胞が生きていくためには、栄養素が確実に必要です。そして栄養素を身体に取り入れるには「吸収」という過程が必要になってきます。

やっとの思いで食のライフスタイルを変え、必要なサプリメントも摂っているのにどうも体の調子がよくならない。そんな場合は「消化と吸収」に問題がある場合が少なくありません。

「吸収不全症候群」というものがあります。これは栄養素の消化・吸収に問題があり、いくら栄養素を摂取してもそれが適切に吸収できず、さまざまな栄養素の欠乏症状が起こるケースのことです。

消化は、口に入れた食べ物が歯によって噛み砕かれ、唾液と混ぜ合わされることから始まります。その後食物は食道を通って胃に入り、胃で強酸性の消化液と胃の筋肉の収縮運動により、どろどろの粥状になって十二指腸に送られ、胆汁や膵液と混ぜ合わされて細かい状態になり小腸へ向かいます。これが消化です。消化された栄養素は、おもに小腸の粘膜から体内に吸収されていきます。口や胃から吸収されるものもあります。吸収された栄養素はまず肝臓に届けられ、そこでいろいろな加工を受けて、全身に運ばれ、体を動かすためのエネルギーになったり、体の一部を作りかえるために利用されたりします。また消化されなかった食べ物のカスや食物繊維、腸内細菌などが糞便となり、毎日のお通じとなって排泄されるのです。

ほとんどの人は、ビタミンやミネラルが不足した食事を続けているといえるのですが、たとえばこの消化のプロセスの中で、胃酸の分泌が不足していたり、胆汁や膵臓の酵素の不足、膵臓や胃、腸にトラブルがあったりしたらどうでしょう。栄養が豊富に含まれた食事やサプリメントによっても栄養状態が改善されない可能性があるのです。

中でも消化の中心的役割を演じる「胃酸」の不足は、ビタミンやミネラルの吸収不良を招き、みなさんの健康を崩す原因となります。とくにミネラルは、ビタミンと違ってもともと吸収されにくい性質があります。鉄欠乏による貧血やカルシウム欠乏による骨の問題で、鉄やカルシウムの錠剤をとってもなかなか改善されないのは、ミネラルが持つこのような性質にも関係があるのです。そのため吸収不全症候群が疑われる人は、ミネラルなどを補給するより、内臓で生じているトラブルを解決することを優先すべきなのです。慢性的な栄養不足は、感染症に対抗する免疫力をも低下させてしまいます。食と栄養を考えるときに自分の体内環境である消化・吸収システムのことも忘れないようにすること、そして胃酸不足の原因にもなる食事の仕方や食品過敏症などに目を向けることも大事なことの一つなのです。

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<消化と栄養に関わる代表的な症状について>

炭水化物不耐症

炭水化物をとりすぎることによる消化不良。

症状には、慢性疲労、集中力低下、甘いものやカフェインがほしくなる、イライラする、情緒不安定、腹部の膨満感、食後の異様な眠気などがあります。またこれが便秘や下痢、また背部痛、腰痛につながることもあります。

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機能性低血糖症

甘い食べ物や飲み物、精製されている炭水化物を摂ることによって起こる血糖値の問題。

症状には、慢性疲労、うつ症状、怒りっぽくなる、いつでも眠い、動悸、頭痛、不眠、冷え症、耳に膜が張る、失神、手足の震え、便秘、月経前症候群、パニック障害、過食症、体のどこかの痛みがあります。

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油の摂り方の問題

サラダ油やコーン油などの調理油、ファーストフードやマーガリンなどの腐った油を摂ることによる問題。

一般的に炎症を促進します。アレルギー性の疾患全体、副鼻腔炎、肺炎、腎炎、肝炎、すい炎、胃腸炎、大腸炎などに関わり、なかなか関節炎が治らない原因にもなります。また脳梗塞や心筋梗塞などの血管性疾患のリスクが高まります。

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食品過敏症(アレルギー)

日本人の多くが持っている食べ物アレルギーに関わる症状。

症状は、疲労、発疹、湿疹、低血糖、めまい、うつ病、頻繁に感染症にかかる、過敏性大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃炎、十二指腸潰瘍、下痢、腹部膨満感、膀胱炎、浮腫、喘息、気管支炎、口内炎、腰痛、頭痛、関節痛、タンパク尿など。

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胃酸分泌の低下による症状

日本人の7~8割が持っている胃液不足による症状。

大半の腸の問題、食後膨満感、貧血、アレルギー、便秘、下痢、不眠、糖尿病、甲状腺機能異常、小児喘息、慢性の発疹、湿疹、胆のう炎、骨粗鬆症、リウマチ性関節炎、副腎疲労症候群、慢性肝炎、白斑などに関わります。

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回盲弁症候群

小腸と大腸の間にある弁「回盲弁」の機能障害による症状。

動悸、心拍増加、胸痛、偽副鼻腔炎、失神、メニエール、めまい、耳鳴り、悪心、頭痛、浮腫、突然の喉の渇き、目の下のクマ、右肩の痛み、肩こり、多関節に及ぶ痛み、偽感染、一般的な痛み、便秘と下痢を繰り返すなどがあります。

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カイロプラクティックによる栄養素のチェック

カイロプラクティックによる栄養素を評価する方法は、アプライドキネシオロジーの創始者グッドハートにより発達してきました。アプライドキネシオロジーの栄養学的検査は、その物質による味覚受容器と嗅覚受容器への刺激に対する神経システムの反応を使用しています。

主なテストは、患者さんに食べ物を咀嚼させたり、舌に乗せてもらうことによって行われます。この状態で筋力検査を行い、簡単にいうとその筋肉の力の入り具合でその食べ物やサプリメントの必要性や食品過敏症などをチェックしていきます。この方法では味覚による求心性の刺激と口腔の刺激による味覚受容器からの情報に対する中枢神経の解釈が、最終的に機能変化(検査では筋力低下など)を起こすことが実証されています。

臨床では、患者さんに物質を咀嚼させることですぐに身体機能の変化が観察されます。空腹で泣いている子供が口に食べ物を入れるだけで即座に泣きやんだり、低血糖症で苛立っている人でも、糖を含む食品を口に含むだけで、血糖値を上げるのには不可能な短時間で落ち着くことからもすぐに身体の変化が出ることは納得できるのではないでしょうか。

このようにアプライドキネシオロジーの栄養学的検査は、その場でその人に必要な栄養素や合わない食材などをチェックすることができるパワフルな検査法ですが、もちろん全てを示すものではありません。筋力テストに精通したアプライドキネシオロジストが行って初めて効果的な検査と言えます。また正確な判断には、一般的な栄養学的知識を熟知し、それによる考察とその他生化学検査、理学検査の結果なども加味していくことが必要です。