治療院を良くするための10個のアイデア
2008年(アメリカンアカデミーオブファミリーフィジシャン)

「全ての産業や職業を通して、人々は問題を解決するためのアイデアだったり、顧客を助けるためであったり、収入を増やすためであったり、または夕飯に間に合うために早く帰るために、いろんなアイデアを探している・・・。ファミリーフィジシャン(ホームドクター)も例外ではなく、アイデアを探しているだろう。しかし、今の経済状況の中でそれは簡単ではない。こういった状況の中ではいくつかのアイデアを知っておくことは有益だろう。」

 

ということで、今日はみなさんはあまり興味はないかもしれませんが、私は多いに興味深々な「治療院を良くするための10個のアイデア」です!
私のメモ的なものなので、興味のない人は飛ばしてくださいね。

数ヶ月前にファミリープラクティスマネジメントという雑誌を通して、読者にアンケートをとり、それに基づいて作ったものだそうですが、いかに!?

 

 

治療院を良くするための10個のアイデア

 

1.半日の仕事に対しての価値を理解しなさい。

(ボブニューベルMDが書いたこと)多くの人は1週間のうちに半日オフにするドクターがたくさんいる。こういったオフを作ることで、仕事関係のストレスを発散するとともに個人的なことをこなす時間として使う一方、治療院に経済的な負担をかけることも出てくる。

例としてそのドクターが1時間に3〜4人診るとしましょう。患者さん1人につき50ドルもらうとしたら、これは1週間に600ドルから800ドルも収入が減ってしまったと考えられる。

当初、ボブさんも半日オフを実行した。平日を半日オフにして、土曜の午前中を働いた。土曜の朝9時〜12時まで働いて、20人の患者さんをみる、そして9時〜12時は重症でないような患者さんを集めているので、そこまで労力を要さない。
そうすると土曜の朝は1000ドルくらいの収入になる、月にすると4000ドル。そして1年を通して土曜に何回かHolidayがあったとしても約1年で44000ドルになる。
これを最初の11ヶ月間やったところ、初期費用としてかかっていた負債なども帳消しにすることができた。

忙しいクリニシャンにとって与えられた半日オフ休暇は、その分収入が減ってそれが何ヶ月、何年となると相当なロスになりやすい。

 

 

2.スタッフの間で仕事を分散させるようにする

(D.シャファーというMDが書いた)

多くのメディカルプラクティスでは、受付の人が変わってしまうというのは大変な問題につながる可能性がある。もともといた人がいなくなって新しい人に変わると、ミスが出たり、うまく仕事がまわらなかったりと、スタッフ以外にも患者さんにも影響が出てくる。

シャファーさんのクリニックでは2年間そういう問題がなかった。それは仕事を分担させたことにつきる。
新しい仕事の募集で面接したら、2人パートタイムで働きたい人が出て来た。そのところ、彼は仕事を2人で半々にするということにした。
一人が第一週目に木曜と金曜に働く。2週目は月、火、水に働く。もう一人逆のシフトで働いた。こうすることによって、こういう人達がパッパとやめることがなくなった。
そのことで、クリニックがうまくまわるようになった。

 

スタッフ(受付)のコメントでは、「自分の家族との折り合いもうまくでき、一日オフにしようとしても心配しなくても良い。それはもう一人のパートナーがカバーしてくれるから。」
もう一人の従業員は、「このジョブシェアという考えはとてもすばらしい。もう一人の彼女が休みを必要な時はサポートするし、逆に私が休みたいときも助けてもらえる。」

二人のシフトは他のスタッフにもわかるようにログしているそう。

 

 

3.待合室を見ると、その治療院の人自身が映し出される

(ジョン・L・フェニンガー)

ドクター達は、必ずしも待合室にいる患者さん達のニーズを知っているわけではない。いろんな形のイスがあったり、カーペットが汚れていたり、雑誌が破れていたり、患者さんのニーズが知られないまま待たされていたり・・・そういったことがある。

私が数年前、メディカルオフィスを作った時、待合室で待っている人達が後ろで働いている私たちのように、過ごしやすく、効率の良い場所に変えていった。

まず3つのセクションに分けた。

1.ビストロエリア

2.暖炉エリア

3.テレビエリアを設けた。

そしてこの3つのエリアを通して、3種類の暖かみのあるイスを置いておいた。
年寄りのために肘掛けのあるイスや、子供を横におけるようなセットのイス等・・・。ビストロエリアでは、コーヒーと紅茶を提供。カウンターの下にはジュースとソーダを置いておいた。多くの患者さんはこういった飲み物がタダで置いてあることにビックリした。
またクリスマスにはクッキーなども用意した。

暖炉エリアは冬に用意し、座って本等も読んだり、心地よくなれるスペースを作った。テレビエリアでは、ワイヤレスイヤホンを置いておいて他の人に迷惑がかからないようにして楽しめるようにした。また全体に高い窓をつけ、日光がしっかり入ってくるようにし、逆にプライバシーを尊重させた。

 

こういった設定をしたことで、患者さん達は「本当に私たちのことを考えてくれるのね」と感じたそう。いろんなクリニックではすごく古くて汚くても、必要とされている分、患者さんは喜んできてくれるが、オフィスというのはあなた自身を反映するものだから、メディカルオフィスだとしても、そういったことを考えても良いのではないか。
またこういったことは、訴訟を減らすことにもつながる。
待合室で気持ちがよくなるベースを作れば、訴訟するような気もなくなる。

 

 

4.自分の家にメディカルホームを作れ

(シャロンマッコイジョージMD)

この人は3年前、170スクエアフットの広さの場所に治療院を開いた。スタッフもいなく、自分の収入も多くはないが、ただ自分のパーソナルな部分を保てている。

朝子供達のことを自転車で学校に送り届けた後、訪問治療で患者さんの覆水の抜いてあげる。その後オフィスに戻って来て、メールをチェックし、患者さんのためのリサーチを始める。そこで次のアポイントも入ってくる。

彼女は絶対時間に遅れないようにしている。
かならず自分のスケジュールに幅をもってやっているそう。
患者さんを増やしすぎず、電話が込み合っていることもなく、患者さんのデータも全て電子カルテとして残っていて、そこまでセカセカすることはない。

患者さんはそのことについて、とてもプライバシーが守られ、往診もしてくれることが、本当の信頼感に繋がっている。
彼女は子育てもしているので、患者さんを増やしすぎないようにしており、そういったことが患者さんに対しても余裕を持った対応ができる環境作りにあらわれている。

彼女は家でホームオフィスをやることが全ての人に合っているわけではないといいます。

町とかによって家でビジネスをやってはいけないという制限があったり、またある管轄ではそういった特定の場所では家でプライベートに診療することが認められてないところもある。彼女の場合は、メンバーシップクリニックというものを作った。
そうすることで、患者さんのことを全て知っている状態を作った。

 

はじめはこういったポジションに自分を置いてしまうと、他のドクターに置いていかれたり、疎外されてしまう恐れがあったが、逆に忙しすぎるクリニックで働きすぎるよりも、現時点ではいろんな人とコネクションしている。
セミナーに出たり、他の医学生に教えたりということもしているそう。

彼女はパートタイムで働いていて、そうすることで、家族や近所や患者さんの間でうまく時間を振り分けることができる。
彼女の収入は一年で6万ドル。まあ一般的なファミリードクターよりは少ないけれど、仕事量もストレスレベルも少ない。
彼女のキャリアの中で生まれて初めて患者さんの死の最後に側にいれたという経験もできたという。

収入は減ったり患者さんも減ったが、自分のパーソナルライフを充実させることが出来た。
当初自分は一時的にこうしたが、でも自分にとても合っていたので、続けるようにしたそう。

 

 

 

5.トヨタの方法で問題解決せよ

(ブレンダ・K・ファン、キャリー・E・ネルソン)

まず治療院が一年過ぎたときに、患者さんが増えたが、スタッフが少なくてイライラしていた。
電話に出なかったり、待ち時間が長くなったり、みんな文句を言い始めた。

 

スタッフの道徳も悪くなっていった。二人が長期不在になっていた。
またそれに追い打ちをかけるように、風邪とインフルエンザの時期になって、スタッフ不足に苦しむようになった。
そのときに全スタッフミーティングをして、それぞれのスタッフに3つ治療院の不満を書いてもらった。それをまとめて、何個かの不満点をあげた。

 

例えば・・・

クリニックのセッションが遅くなっていった。
ドクターがスケジュールに遅れているから。
患者さんが部屋に入ってくるのが遅くなったから。
臨床スタッフが患者の順番リストをBOXに入れるのが遅かった。
受付の人が、電話がいっぱいきすぎてそれをする時間がなかった。
薬局からの、ちゃんと組み合わされていない処方についての問い合わせが多かった。

 

このなぜ?を5回聞くのがトヨタの有名なやり方。

こうやって効率をあげていく方法を探した。

 

このミーティングやったことによって、みんなハッとさせられた。
問題がハッキリしたことによって、彼らは効率化作戦を練った。
まずはオフィスでのまたやり直すというような作業を除去することやスタッフの満足度をあげることに視点をおいた。
そしてオフィスのモットーを掲げた。「今日やることは次に伸ばさず、今日中にやること」
問題を見つけて問題を把握するために、2週間ごとに4ヶ月間ミーティングを行っていった。

 

まず大量に電話がかかってくることに対しての、対策としては、患者さんの電話をカテゴリーにわけた。
まず、しっかり理解できるような処方箋を書くようにした。
これによって、毎回電話がかかってくることがなくなり、クリニックの効率も高まっていった。

 

クリニックの問題を解決しようとする時に、以下のポイントをキープしておくと良い。

1  その役割について一番関わっている人をしっかり見極める

2  個々のスタッフに自分のやることが後の作業にどんどんつながっていくというドミノエフェクトを理解させる。

3  あなたのするプロセスに対してなんでそれをするのか、必ず問いかけなさい。

4  あなたの成功につながるオブジェクティブ(客観的指数)を考えていきなさい。

 

 

さて。今日はここまでにしておきましょう^^。

 

 

K.K.

 

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カイロプラクティックは、薬は使わず手だけで身体の治療をするアメリカ生まれのヘル
スケアです。
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アプライドキネシオロジーでは、自律神経や内臓、ホルモン、神経、栄養のアンバラン
スをチェックし、それに対する治療を行うことができます。
アメリカではまさしくプライマリーケアとして認められ、準医師として統合医療の一翼
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麻布十番のカイロプラクティック治療院 CHIROPRATICA

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参考文献

10 Big Ideas That Could Make Your Practice Better

Fam Pract Manag.  2008;15(8):33-41.  ©2008 American Academy of Family Physicians

Posted 01/28/2009