ここ何年かの発見で、ビタミンDは体の中の抗生物質を高める働きをしてくれ、免疫を高めてくれることがわかっています。

また、みなさんにも知ってもらいたいのは、インフルエンザを予防するのにこのビタミンDにかなりの効果があるということなのです^^。

 

今日は2008年に発表された論文を紹介しましょう。

 

 

インフルエンザは、みなさんもご存知の通り非常に感染力の高いウィルスです。

しかし、インフルエンザが流行するにはいくつかの特徴があるのですね。

例えば、インフルエンザが人によってかかる人とそうでない人がいることや、同じ緯度で偶然にも流行があったりしたり、インフルエンザの発生が季節に関係していたりと・・・。

これ、面白いと思いませんか?

 

 

ビタミンDは免疫を高める!?

 

今日はまずビタミンDについてお話していきますね。

 

論文を発表したホープシンプソンさんの仮説では、インフルエンザの季節的な要因というものでは、太陽光線の影響があると言っていましたが、最近の研究では、カラダの抗バクテリアペプチド(AMP)が季節的に低下してしまうことによって起こっているのではないかと言われており、ビタミンDがこのAMPに高い効果があるのではないかということがわかってきているのです。

 

アロイヤーさんとリーイングさんがやった研究では、104人の閉経後のアフリカ系アメリカ人の女性にビタミンDを投与すると、風邪とインフルエンザの症状が起きにくかったということがわかっています。

この研究ではビタミンDを低い摂取量1日に800IUの場合でも、ほとんど風邪の症状がなくなっており、高い摂取量2000IUでは、症状は全くなくなったと言います。

 

すごいですね!

 

私のblogでは、骨を強化するビタミンとして紹介したことがありますが、たしかにビタミンDは、抗生物質の役割を果たすビタミンとも言われています。

マクロファージの中にビタミンDがあると、炎症を促進させるサイトカインや、インターフェロンγとTNFα、IL12という物質が抑制させられて、病気の感染する分子的なパターン(PAMP)を落とすと言われています。

また少し難しい話になりますが、細胞の外側の層(表皮)では、ビタミンDというのはPAMPリセプターを使ってケラティノサイトを活性化させて、微生物に対して反応させられるようにします。それゆえビタミンDというのは、表皮のローカルキャパシティを高め、抗生物質を作り、同時に炎症のときのサイトカインなどを抑制させる作用をしてくれるのです。

 

 

 

話を続けていくと、先ほどお話していたAMPが粘膜の表面にコーティングされた防御壁を作ります。ウィルスがカラダに感染するには、その粘膜を貫通していかなければならないのですが、この防御壁がかなり役立つわけです。ということは季節的にAMPが少なくなると、ウィルスに感染しやすくなるということですよね。

そして、ビタミンDは、AMPを活性化させることができる物質でもあるということです^^

 

 

人種によってビタミンDレベルが違う!?

 

動物の中では、免疫を循環させるためにビタミンDを必要としない動物もいます。ネズミや犬は、ビタミンDのリセプターがなくて、ビタミンDを必要としていません。

ちなみに人種によっても身体のビタミンD量は違ってきます。たとえば、アフリカ系アメリカ人の血漿の中のビタミン25(OH)Dは、白人と比べて低いとされています。その結果、ビタミンDによって動く抗微生物サーキットを使って免疫システムを刺激することができません。

どうしてアフリカ系のアメリカ人にビタミンDが少ないかと言うと、高メラニン色素を持っている人たちは、ビタミンDを肌の中で作るUVを防いでしまうからと言われています。(肌の中のケラティノサイト「表皮の細胞、角化細胞」にUVが当たることでビタミンDができる)

ということは、黒人などの肌の黒い人は免疫も下がってしまいますよね。

また、年をとってもビタミンDを作る量が減ってしまいます。

 

 

 

ほとんどの人間は、太陽を浴びることによってビタミンDを合成するので、人種によって欠落しているというのは、地球上を見てみると、どこかしらで存在しています。それは時間帯であったり、季節だったり、緯度であったりすることが関係していますが、冬場は欠落する割合が特に高くなります。

これで、インフルエンザが緯度や季節に関係する理由がわかってきた気がしますね!

 

 

 

老人と肥満の人、日光にあまり当たらない人、肌が黒い人、北極か南極圏に近い人達に、高い割合でビタミンDの欠落する人が多くみられます。

赤道近くだと、季節的なビタミンDの量が変わるそうです。これは太陽を避けようとする行動であったり、雨季であったり、大気汚染が関係するのではないかと言われていますが、こういったことでも季節的に免疫が下がる時期があるということはとても興味深いです。

一つ例をあげると、香港で行われた研究では、小さい子供たち(香港)はビタミン25(OH)Dのレベルが20ng/mlで低く、夏場でも30ng/mlを超える子がいなかったと言います。この分野のエキスパート達は、この数値は低すぎると言っており、このことが、免疫の低下につながり、インフルエンザにかかりやすくなることに関わっているのではないかとも言われています。

 

 

 

今回の論文の執筆者であるエドガーホープシンプソンさんは、さらなる研究をして、太陽からくる放射線は、インフルエンザに対して深い効果を持っているとしているそうです。

 

さらなる研究に期待したいところですね!

インフルエンザ予防にはビタミンDです^^。

 

 

K.K.

 

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参考文献:

On the epidemiology of influenza

Open Access

John J Cannell*1, Michael Zasloff2, Cedric F Garland3, Robert Scragg4 and Edward Giovannucci5

Address: 1Department of Psychiatry, Atascadero State Hospital, 10333 El Camino Real, Atascadero, CA 93423, USA, 2Departments of Surgery and Pediatrics, Georgetown University, Washington, D.C., USA, 3Department of Family and Preventive Medicine, University of California San Diego, La Jolla, CA, USA, 4Department of Epidemiology and Biostatistics, University of Auckland, Auckland, New Zealand and 5Departments of Nutrition and Epidemiology, Harvard School of Public Health, Boston, MA, USA

Email: John J Cannell* – jcannell@ash.dmh.ca.gov; Michael Zasloff – maz5@georgetown.edu; Cedric F Garland – cgarland@ucsd.edu; Robert Scragg – r.scragg@auckland.ac.nz; Edward Giovannucci – egiovann@hsph.harvard.edu
* Corresponding author

Published: 25 February 2008
Virology Journal 2008, 5:29 doi:10.1186/1743-422X-5-29
This article is available from: http://www.virologyj.com/content/5/1/29

Received: 9 February 2008 Accepted: 25 February 2008

© 2008 Cannell et al; licensee BioMed Central Ltd.
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