椎間板ヘルニア|岩の上でうつ伏せから上体を反らすポーズをとっている男性

 

今日は、椎間板ヘルニアの方によく指導する運動についてお話します。

 

前回の椎間板ヘルニアのお話では↓

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さて、運動のことをお話しする前に・・・

 

みなさん椎間板に負担のかかりやすい姿勢や、ヘルニアの人の痛みが増悪する姿勢を思い出してください。
椎間板ヘルニアの人は座りっぱなしや中腰姿勢、身体を丸めると椎間板に負担がかかり、痛みが増悪するのでしたね。
これは椎間板の前方に圧がかかることで、髄核が後ろに押しだされるからです。

 
 
 
 
 

椎間板ヘルニアに有効な運動とは!?

 
 

では、椎間板ヘルニアに適した運動とは?

 

 

 

そう。逆の動きをすれば良いのです。

 

実は、椎間板ヘルニアに適した運動とは「反らす運動」なのです。反らす運動をすることで、椎間板内の髄核のずれを矯正していき、後ろの方にずれてしまった髄核を元の位置に戻そうとします。

腰椎(腰の骨)はもともとゆるやかに前方に反るようにカーブを描いているのが本来の形ですが、椎間板ヘルニアの人や、日常生活で慢性的に腰を丸めた姿勢、前屈みの姿勢をしている人は、腰椎がまっすぐあるいは後ろに丸まった状態になってしまいます。そうなると椎間板内の髄核も後ろにずれやすくなります。

この髄核を前に戻そうとする運動が「反らす運動」なのですね。

 

 

 

この運動はマッケンジーエクササイズと言われ、ロビン・マッケンジーにより開発された運動法です。マッケンジーはニュージーランドの脊柱障害の専門家で、1960年代に彼の検査法と施術法を開発し、そのシステムは世界中に紹介され、多くの成功を収めています。

また多くの国でマッケンジーの概念や施術法への様々な研究がなされ、その中の一つ、アメリカのテキサス大学で発表された研究では、マッケンジーのシステムが多くの腰痛に効果を示し、高い確率で他の方法よりも早く治癒すると報告しています。

 

 

 

 

さてそのマッケンジーエクササイズなのですが・・・

実は本当に簡単なので、誰にでも行えます。
ただ腰痛の度合いや足のシビレのひどい方は、専門家のもとでエクササイズを管理してもらった方が良いでしょう。

 

では、その運動法を、腰痛の程度によって段階を踏んで行っていきましょう。

 

 

 

うつぶせに寝る(腰痛や足の痛みがかなり強く腰が反らせない方)

床の上にうつぶせになり、全身の力を抜きます。また腰からふくらはぎまでの筋肉は特にリラックスして力を抜きましょう。
その状態で深呼吸をしながら2~5分その姿勢を維持します。この運動は、一日に6~8回くらい行います。

 

肘立て反らし(痛みや身体の硬さで上体反らしまではできない方)

まずうつ伏せに寝て、リラックスします。次に、そこから両肘を肩の下について上体を起こします。
その状態を2~5分保ったら、ゆっくりとうつ伏せの姿勢に戻していきます。慣れてきたら、この運動を何回か繰り返して行いましょう。

 

上体反らし運動(①、②が無理なくできる方)

肘立て運動が無理なくできるようになったら、今度は肘を伸ばして完全に上体を反らしてみましょう。
けっして急がずゆっくり行います。反らしたら、またうつ伏せの姿勢に戻ります。この運動を10回程行いましょう。

 

※運動を行っている時に痛みが強かったり、運動をすることで痛みが増悪したり、広がったりする場合は、すぐに運動をやめてください。この運動が適している場合は、大抵、運動をすると痛みが軽くなってきたり、可動域が増えてきます。

※反らす運動で良くなってくる方がほとんどですが、あまり痛みが良くならない方は、上体を反らすと同時に、痛みが楽になる方へ腰を横にずらしてみてください。または天井の斜め左や斜め右を見ることで、楽な方へ伸ばしていきましょう。

 

腰を丸める運動+上体反らし運動

上体反らし運動で腰痛や足のシビレが大分よくなってきた方は、この運動を行ってみましょう。
まず仰向けで寝て両膝を手で抱えます。両膝を胸の方まで引き付けるようにしてこの状態を3分くらい維持します。
その後いつもの上体反らし運動を行ってください。必ず最後は上体反らし運動で終わるようにします。
この運動によって、腰椎の柔軟性もついてきます。

 

 

 

椎間板ヘルニア|マッケンジーエクササイズ図解

 
 
 
 
 

マッケンジーの発見

 
 

マッケンジーが最初にこの方法を発見したのは、あるクライアントさんを診たときからです。

 

 

スミス氏と呼ばれるその男性の腰痛のクライアントさんは、右側の腰の痛みとそれに伴うお尻から膝までの広がる痛みを訴えて来院しました。それまで彼には、一般的な腰痛ケア(温熱療法と超音波療法)が3週間施されましたが、彼の体調は一向に変化しませんでした。彼は背中を伸ばして立つことができず、前かがみでは歩けても背中を伸ばしては歩くことができませんでした。

 

 

 

マッケンジーは、彼に服を脱いだら、施術用のベッドにうつ伏せになって寝ているように指示しました。そのときマッケンジーは平坦に戻していないベッドに気付かず、彼は指示されたようにうつ伏せで寝ると、背中が反る体勢となり、5分ほど大きくストレッチされながら寝る羽目になりました。ところが、マッケンジーが施術するために部屋に入って様子を尋ねると、驚くことに過去3週間で最も体調が良いと答えたのです。
足にまで及んでいた疼痛は消失し、右側の腰痛も中央に移動していました。加えて彼は、激しい痛みもなく背中を伸ばせたのです。そしてマッケンジーは翌日も同じ体勢で寝かせました。そうすると残りの症状も全て取り除かれたのです。

 

 

驚きの体験ですね^^。

この体験により、マッケンジーは現在の根底となる一般的な腰痛に対する診断法や、施術法の基本を作り出します。
忘れてはいけないのは、スミス氏が寝ていた姿勢です。それまで腰痛には最もダメージを与えると考えられていた背中を反る姿勢で、症状が劇的に良くなったのです。

 

 

 

 

いままで、腰痛や足への疼痛を持つ患者さんに対しての施術は、「まず安静に」が大半を占めていました。しかし現在では、逆に痛みを感じる患部を動かすことが必要であるということが、少しずつ理解されてきています。またこれらのエクササイズが、身体を動かさない方法より効果的であることが判明しています。

ここで紹介したエクササイズは、通常の筋力を強化させる目的のエクササイズとは異なり、椎間板や軟部組織の構造、また周囲の代謝を増進させることに焦点が置かれています。
そしてこのエクササイズ一番の利点は、誰でも簡単で安全に行うことができる点です。注意して行えば、腰痛が悪化することはありません。また運動をすることが再発も防いでくれます。

 

 

もちろん最初は、臨床経験のある専門家の指示に従いながら行うべきですが、みなさんもご自分で出来る動かす方法を試してみてはいかがでしょう。

 

 

Information

 

Written by

小菅一憲

Bachelor of Applied Science
Bachelor of Chiropractic Science
AK Practitioner

国際基準のカイロプラクター
アプライドキネシオロジスト
健康栄養指導士
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Thank you for reading to the end.